HANABIS "JUST TIME 420" (CD)
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本作『JUST TIME 420』の前半8曲目まではHANABiS自身の初ソロシングル(アナログONLY)『BLUE MESSAGE』の制作をきっかけにソロ活動を開始した辺りからの体験が、さながら私小説かの如く進行(収録)されている。各曲に全体的な統一感が帯びていることもそういうことだろう。日本を飛び出してアムステルダムで過ごした日々や(実際は2年連続で訪れた同地をテーマにした曲は1回目、2回目とも別曲で収録)北海道は函館から沖縄まで、前述したシングルを売り捌く日常を、FLASH PISTONやKAZSHITが生み出すスモーキー且つ黒いトラックにHANABiSはリリックを刻んでいる。その言葉には過ぎた日々を真摯に受け止め決意した一人のMCの重みが存在し、「売れる売れないは別にしてイイ作品を作りたい」という本人の言葉に裏打ちされた、リナーに対して飾り立てる自分を必要としないHANABiSの心意気を筆者は感じてならない。その街にいるかのような錯覚を独自の描写の妙と同時に感じさせる"KAMANIN"(このタイトルにも注目)、先にリリースされたシングルを新たに録り直したタイトル曲でもある"JUST TIME 420"といった辺りが前半のハイライトか。本作半ばへと続く曲には岡山STREET代表・O.N.B.の面 (GOMYOも特筆すべき存在!)、魂風(FLASH PISTON)等といった岡山周辺の客演陣が名前を連ねており、この辺りにも彼の綴る日常としてのHIPHOPの距離感をリスナーも感じ取れるだろう。岡山のSTREETで得た経験と決意、そして出会いと別れを最後の"足跡"と"まいた種"という2曲に淡々しつつもどこか強い信念を感じるそのスタイルとリリックで締め括っている(この2曲の極上トラックもまたFLASH PISTONである)HANABiSという岡山のSTREETで生き抜く一人のMCの現在進行中の〈生き様〉が目一杯に詰め込まれている。この辺りで堅苦しいは駄文は止めておいて、本作『JUST TIME 420』に耳を傾けて一本どうぞ。